養子に出た子にも平等にある不動産の相続権

昨年父が亡くなり、松原で静かに家族葬を終えた後は高齢の母がマンションに一人暮らしとなりました。相続はそのマンションと少しの現金だけになります。マンションの評価額は1200万円程度でした。
相続者は母と子供である私の半分ずつになりますが、家は母が住んでいるもので、現金も少しだけなので相続放棄の手続きをし、全部母が相続できるようにしようと思い、実際に家庭裁判所で手続きもしました。
ただ重要なことが抜けおちていました。私には兄がいて、兄は結婚を機に相手の家に養子に入り、そのときにいざこざがあり音信普通になっていて、父の葬儀の際に何十年ぶりに会ったくらいの関係でした。母は養子に行ったのだから相続権はないと言っていて、私もそう聞いていたので思い込んでいたのですが、実は養子に行った子供でも実子には変わりないので相続は平等にあるということでした。
兄に連絡を取り「私は相続放棄をしてたので、同じようにしてほしい」と頼んだところ、少し経ってからの返答はなんと「相続放棄はしないで法律通りで…。家も母が住んでいるなら家賃をもらう権利がある」というので驚きでした。
どうやら生活に困っているらしくそのような返事が来たのですが、「何十年ぶりにようやく父の葬儀で会うような不義理をしてきたのに相続だけは主張するなんて!!」と大喧嘩になってしまいました。
兄が相続をするというのなら私も形式上は相続をして、それのあとで母に贈与するという形をとればよかったのですが、すでに相続放棄をしてしまったことも問題でした。

もともと相続人は母、兄、私の3人だったので相続分は母が2分の1、私と兄が4分の1ずつになるはずでしたが、私が相続放棄したことにより相続人2人となり、兄の取り分が2分の1と本来より増えてしまい、母が2分の1で変わらず、単に兄に有利になるという事態になってしまいました。

結局話し合いは難航し、弁護士の先生に示談をお願いし「母親がずっと住んでいた家なのに相続により何十年も音信普通だった兄への家賃の支払いは不義理である」ということでの話し合いを何度もかさね、結局兄は現金だけを半分相続するということで落ち着きました。その現金も半分で250万円程度で、今後の母の大事な財産なのによくもっていけるものだ…と内心私は呆れ返りました。

今回のことは養子に出た子供にも平等に土地を含めた財産の相続権があるということを知らなかったために起きてしまいました。もし知っていれば父の生前に兄を説得したり、父に遺言を書いてもらうことで回避できたかもしれません。
相続と養子の関係について、思い込みではなく正しい知識を持っていれば…と悔やまれます。